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   その11 (2000年1月14日 篠原 → 長與)

   ちょうど、先週の今日、テレビで「スロヴァキア、最後のチャンス」という特別番組をやっていました。これは前にご紹介した11月17日十周年の続編で、連邦国家の分離を扱ったものです。ドキュメントフィルムとインタヴューで構成するつくりはまったく同じで、1993年までを扱っています。これも前編と同じように、バランスがとれた好番組だったと思います。友人に録画しておいてもらったので、いずれお目にかけましょう。メチアルのインタヴューがたいそう差し込まれていたのですが、いかんせん、ぼくにはメチアルの言っていることはほとんどわかりませんでした。ほかの人のスロヴァキア語はなんとかわかったようなつもりになれるのに、メチアルの早口(?)はわかりませんでした。残念です。面白かったのは、スロヴァキアでもチェコでも、メチアルの人間的な魔力、「馬力」といったものが、たいていは否定的であれ、賛嘆されていたことでした(ただ、メチアルを「悪魔」化していないのも、この番組のいいところです)。インタヴューではどの人も当時の協力者や交渉相手をあまりよくは語っていませんが、メチアルとクラウスだけは、たがいに、まあ「べたぼめ」といってもいいような評価でした。誰だったか、この二人は、人間的な負の側面がうりふたつだった、と回想しているのが、これに対応しているのでしょうか。なんでも、エゴ・セントリスティックで、「自分の思い通りでない主張には文字通り示威的に耳も貸さない」んだそうです。

   例の「ハイフン論争」については、ハベルの無理解、というのが、繰り返し語られていました。ブラチスラヴァのデモをテレビで見て、「何でスロヴァキア人はロシアの旗を振っているんだろう」といったぐらい、スロヴァキアについてハベルは無知だった、というのですが(これはピトハルトだったかの回想です)、これはちょっとマユツバですね。

   今日はこの辺にしておきます。ぼくはクリスマス前と新年に風邪でそれぞれ一週間寝込んでしまいました。それほど弱いとも思っていませんが、もう秋から三度目になりますから、自信を失ってしまいます。貴重な時間をただ寝床で過ごすのは、実にくやしいものです。

   それではまたお便りいたします。

琢拝



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